東京高等裁判所 昭和55年(行ケ)94号 判決
一 請求原因一及び二の事実は、当事者間に争いがない。そこで、原告主張の審決取消事由の存否について判断する。
二 成立に争いのない甲第五号証及び第七号証によれば、原告は、昭和五五年五月一日付で、特許庁に対し、本願商標の登録出願につき「指定商品の一部放棄書」を提出し、本願商標の指定商品中、「ゴキブリ捕獲器」以外の商品について商標登録出願により生じた権利を放棄し、さらに、同年七月二五日付で、同じく「指定商品の一部放棄書」を提出し、本願商標の指定商品中、「ゴキブリ捕獲器(但し、ガラス製を除く。)」以外の商品について商標登録出願により生じた権利を放棄したことが認められ、その結果、本願商標の指定商品は、「ガラス製以外のゴキブリ捕獲器」に減縮されたことになる。
ところで、引用商標からは、これを一連に読む「ベントグラス」の称呼を生ずることはいうまでもないが、引用商標の指定商品は、第一九類「他類に属しない台所用品、その他本類に属する商品」であり、その中には「ガラス製のコツプ、さら、小鉢、ろうそく立て、金魚ばち」等が存在するから、引用商標を前記のようなガラス製品に使用するときは、引用商標中の「GLASS」の文字部分は、単にこれらの商品の品質を表示するにとどまるものであつて、引用商標における自他商品識別の機能を果たすのは「BENT」の文字部分であるので、引用商標からは「ベント」の称呼をも生ずるということができる。
そうであれば、引用商標がその指定商品中の非ガラス製品に使用された場合であつても、引用商標からは「ベントグラス」の称呼のほか、「ベント」の称呼をも生ずるとみるのが相当であつて、この場合には、一連に「ベントグラス」の称呼のみを生ずるとする特段の事由を見出すことはできない。
したがつて、本願商標の指定商品を「ガラス製以外のゴキブリ捕獲器」に減縮してみても、引用商標から「ベント」の称呼をも生ずるとした審決の判断は影響を受けないものであり、本願商標と引用商標とは称呼類似であるとした審決は相当というべきである。原告の主張は採用することができない。
三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却することとする。
〔編註〕本件に関する商標は左のとおりである。
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